中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)とは

iDeCoプラスは中小事業主掛金納付制度の愛称で、従業員がiDeCoに加入している場合、従業員の掛金に上乗せして事業主が掛金を拠出する制度です。
従業員の掛金額は毎月給与から天引し、事業主掛金(上乗せ)と合わせて事業主が払い込みます。
従業員の老後の所得確保支援に加え、事業主が拠出した掛金は全額が損金扱いとなります。

iDeCo+(イデコプラス)の仕組み

    • 図:国民年金基金連合会iDeCo公式サイトより出典

iDeCoプラスのメリット

  • 事業主

    • メリット1
      事業主が上乗せする掛金は、全額損金計上が可能です。
    • メリット2
      上乗せの掛金は、給与として認識されません(社会保険料の増加とはなりません)。
    • メリット3
      企業年金制度の導入と比較して、コストや事務負担が少なく導入できる福利厚生制度です。
    • メリット4
      iDeCoプラスの導入により、転職等により確定拠出年金の資産を持ち込む従業員(転入者)の受け皿となり、 優秀な人材の確保につながるとともに、従業員のモチベーション向上も期待できます。

  • 従業員

    • メリット1
      掛金は全額所得控除になります(個人で負担した部分のみ。事業主が上乗せした掛金は所得控除の対象外)。
    • メリット2
      上乗せの掛金は、給与として認識されないため、所得税や社会保険料等の増加になりません。(実質的な給与アップ)
    • メリット3
      事業主からの支援で、より多くの老後資金の準備が可能です。
    • メリット4
      運用次第では資産増額となります。
    • メリット5
      iDeCoは自己負担の手数料が必要ですが、iDeCoプラスの場合、事業主の上乗せ掛金で、iDeCoの手数料をカバーすることができます。

iDeCoプラスの留意点

  • 事業主

    • ● 給与天引きの事務が前提。加入者掛金と事業主掛金を事業主がまとめて納付します。
    • ● 制度導入、廃止および事業主掛金額の決定等は、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の同意が必要です。
    • ● 制度導入にあたり、就業規則等社内規定の見直しが必要となる場合があります。
    • ● 事業主掛金対象者に変更が生じた場合の届出等、速やかな事務対応が求められます。
    • ● 厚生年金被保険者数が300人を超えた場合、制度を廃止する手続きが必要となります。
  • 従業員

    • ● 事業主掛金を得るにはiDeCoの加入者になる必要があります。
    • ● 原則、60歳まで資産を引き出すことができません。
    • ● iDeCo申込み時、iDeCo運用期間中は手数料が必要です。
    • ● 運用成果によっては、掛金元本を下回ることがあります。

    現在iDeCoの契約がある従業員さまへ

    • ● 掛金納付方法が「個人払込」の場合は、本制度の適用を受けることができません。「事業主払込(給与天引)へ変更してください。
    • ● 運用指図者(掛金を拠出していない方)は、本制度の対象外となります。本制度の適用を受けるためには、掛金の拠出再開が必要となります。

iDeCoプラスの利用条件等

適用対象となる事業所
  • ■ 企業型確定拠出年金、確定給付企業年金及び厚生年金基金を実施していない厚生年金適用事業所であること(中小企業退職金共済制度とは併用可)
  • ■ 使用する厚生年金被保険者の数が300人以下であること
実施要件
  • ■ 労働組合または従業員の過半数を代表する者の同意が必要
  • ■ iDeCoの加入者が事業主を介して納付を行う(給与天引き)場合に限る
拠出の対象
  • ■ 拠出の対象となる者について、一定の資格(職種および勤続期間)を定めることができる
  • ■ 特定の者について不当に差別的なものであってはならない

掛金について

掛金額

加入者掛金と事業主掛金の合計額は、月額5,000円以上23,000円以下の1,000円単位
加入者掛金は1,000円以上必要となるが、事業主掛金が加入者掛金を上回ることは可
(例:「加入者掛金1,000円+事業主掛金4,000円」)

掛金の変更

12月~翌年11月までの間に、1回のみ可能。中断・廃止も可能
(但し、変更についての労使合意が必要)

納付方法
  • ■ 加入者掛金と事業主掛金を事業主が取りまとめて納付(事業主払込=給与天引き)
  • ■ 事業主掛金は加入者掛金を納付する時期と同じ時期に納付
  • ■ 前納・追納は不可
  • ■ 納付日及び納付金額については、「掛金納付結果通知書 兼 引落事前通知書」が事前通知される
税制
  • 事業主掛金:全額損金算入
  • 加入者掛金:全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)

iDeCoプラスの使用例

ケース① 自助努力の支援

iDeCoに加入する従業員に対し、手数料+α 程度の補助(一律月額1,000円等)

ケース② 功労者への福利厚生

  • ■ 一定以上の勤続年数の従業員に対し、月額5,000円の上乗せ等
  • ■ 勤続年数により段階拠出の例
    勤続年数 事業主掛金 加入者掛金(選択可能)
    勤続3年未満 毎月1,000円 毎月4,000円~22,000円
    勤続3年以上 毎月5,000円 毎月1,000円~18,000円
    勤続10年以上 毎月10,000円 毎月1,000円~13,000円
    勤続15年以上 毎月15,000円 毎月1,000円~8,000円

ケース③ 企業年金代替

最低掛金(1,000円)での加入を前提とし、加入した全従業員に月額10,000円の上乗せ等



  • iDeCoに加入していないことにより事業主掛金が拠出されないことは、中小事業主掛金納付制度としては、不当な差別的な取扱いとはなりません。

制度実施までの流れ

  • Step1制度のデザイン

    • □ 実施(拠出開始)時期
    • □ 拠出対象者の資格範囲を定めるか否か
    • □ 事業主掛金額の設定
  • Step2労使合意・拠出対象者の同意

    • □ 制度実施についての従業員の同意
    • □ 中小事業主掛金の拠出について、拠出対象者からの同意(=加入意思の確認と留意事項説明
    • □ 就業規則の改訂
  • Step3給与天引き対応、届出書類の作成・提出

    • □ 事業主払込(給与天引)にかかる登録事業所番号の取得
    • □ 中小事業主の資格証明
    • □ 個人別の事業主掛金額の届出、等
  • Step4国民年金基金連合会へ書類提出

    • □ 国民年金基金連合会へ各書類2部ずつ提出(うち1部は地方厚生(支)局用)
      •  地方厚生(支)局では、中小事業主掛金納付制度を実施できる企業であるか等の確認、国民年金基金連合会では、それ以外に中小事業主掛金と加入者掛金の合計額が規程の範囲内であること等を確認する。

iDeCoプラスのお申込み・ご相談

お申込み・制度に関するご相談は、百十四銀行営業店にて随時承っております。
また、下記お電話でもご相談承っております。

株式会社百十四銀行 業務支援部 資産業務センター
☎ 0120-114-570 (平日9時~17時)


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